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塩と日本人の歴史

能登の塩釜。昔はたくさんの海水をこれで煮込んでいた。

島国日本という言葉があるように、私たちは海に囲まれて生きてきました。今日からセレンデイでは、そんな海からの贈り物「塩」について、注目してみようと思います。

日本の歴史と塩

そもそも、日本人が塩を作るようになったのは、縄文時代ごろとされています。魚や貝、動物を獲っていた暮らしから、農業中心に変わったことで、塩に含まれる栄養素が必要になったためです。私たちのご先祖様は、土で作った土器で海水を沸かしたり、海水の付いた海藻を燃やして、塩を手に入れていました。時代が進んで、細かな塩の作り方は変化しましたが、今も各地で、海水を蒸発させて作る伝統的な塩作りが行われています。そうして知恵を凝らして作った塩を、ご先祖様たちは、食事や生活に役立ててきました。

塩と保存食

日本における塩の歴史は、保存食の文化と密接に関連しています。海に囲まれた島国の人々にとって、塩は食料を腐敗から守り、長期間保存可能にするために欠かせない存在でした。例えば、塩鮭は鮭を塩漬けにして長期保存を可能にし、食糧不足の時でも栄養を確保する手段となりました。また、漬物は野菜の保存期間を延ばすと共に、ビタミンなどの栄養素を保ちながら、独特の風味を楽しむことができます。この漬物文化は、奈良時代に中国から伝わったとされ、日本各地に根付きながら多様化してきました。

冬の寒さが厳しい地域では、漬物の他にも、イカやタコといった海産物を塩で処理し、干物として保存する技術が発展しました。これらの保存技術は、季節の変わり目や不漁の時期を乗り切るために、古くからの知恵として受け継がれています。

塩と健康

浜辺で潮を浴びたり、塩水が交じった温泉に入って体を癒すこともあった。

日本における「塩」と健康の関連は深く、食事のみならず、潮湯(しおゆ)や塩湯といった入浴法においてもその影響は見逃せません。潮湯は、海水をそのまま利用したり、海水から取った塩を溶かしたお湯での入浴を指し、体を温め血行を促進する効果があるとされています。海に近い地域では、海水浴と同様に健康増進のために潮湯が利用されてきました。

一方で、塩湯は温泉地でよく見られる入浴法で、こちらは温泉水に塩を添加することでミネラル分を豊富にし、さらに健康への効果を高めると言われています。塩湯は肌の柔らかさを保つと同時に、リウマチや冷え性などの症状緩和にも効果があるとされ、古くから多くの人々に親しまれてきました。

これらの潮湯や塩湯の伝統は、塩を活用して身体を健やかに保つという日本人の知恵を物語っています。また、暑い夏には熱中症予防のために塩分補給が重要であり、その際にも日本の料理では塩分を適切に摂取できるような工夫がなされてきました。塩は、日本人が健康を維持し、病気から身を守るために重宝されているのです。

記者:立花 優作(Tachibana Yusaku)

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