「この栄養たっぷりなインスタント・マカロニ&チーズの夕食に、そしてこれを販売してくれた人たちに、祝福を。アーメン」──ケビン・マカリスター
「ホーム・アローン」(1990)
今回はアメリカの家庭料理編です。
Macaroni and Cheese
アメリカを象徴する家庭料理といえばやはりこれ、チーズソースで和えたマカロニ「マカロニ&チーズ」、略してMac n’ Cheeseでしょう。防水処理した紙箱にマカロニが直接と、アルミパウチに粉末のチーズソースが入っています。マカロニを茹で、お湯を切ったら粉末を振りかけて混ぜます。完成。
お世辞にも美味しいとは言えないこの料理ですが、場合により刻み玉ねぎや挽肉などを入れたり、チーズソースをクリームで作ることがあります。といっても、そのように高級化したマカロニ&チーズが正統なマカロニ&チーズか?と言われると難しいものがあります。
もちろんレンジ調理可能なパックのものもあります。味が微妙なことは言うまでもありません。
日本でアメリカのものを食べるにはあまりにもやる気のないこの料理ですが、ちゃんとしたショートパスタを茹でてチーズソースを掛ければそれなりにきちんとした料理になります。そもそも乳製品を使用したソースを使用しているわけで、量に対する満足感という意味では十分以上ですね。
Campbell’sと麺類
アンディ・ウォーホルのアレ、もといキャンベルのスープは代表的なインスタントスープです。種類は日本より多く、例えば濃縮タイプのビーフブロスだったり、豆とベーコンを煮込んだスープがあったり、チキンヌードルスープという汁麺があったりします。
当然のように減塩・無塩・低脂肪・更にはグルテンフリー、などなど……とある中で、国産野菜や玄米などにこだわったラインナップもあり、更にはベジタリアン、ヴィーガンなどもあり健康志向は留まる所を知りません(北米にもコメを生産する場所があり、中粒種のカリフォルニア米などが有名です。こちらは別記事にて紹介します)。
西洋地域の麺類については説明が必要ですね。
英語表現において、汁麺=「多量の液体に麺が浸かっている食品」、つまりラーメン的な食品はNoodle Soupと表現します。
逆に、混ぜ麺=「麺に少量の液体を絡めた食品」である油そばやソース焼きそば的なものはSauce Noodleと表現することが多いでしょうか。
どちらの場合も「丼に入った状態」を指してNoodle Bowlと呼称することがあり、これは丼ご飯でも同様にRice Bowlとなります。
チキンヌードルスープは要するに、「鶏出汁のスープに麺が入ったもの」であり、その麺はパスタのようなものです。缶の液の中にずっと浸かっていますから、その柔らかさは想像に難くないでしょう。
箸を使うことが少ないため、麺自体にフォークで食べるための工夫が施されています。ざっくり言えば、「短めにカットされており、かつ柔らか目にすることでフォークで巻き取りやすくする/そもそもショートパスタにする」といった所でしょうか。
1杯2000円以上するような日本式のラーメン、あるいはベトナムのフォーなどは分かりやすい例外です。フォーは鶏肉や牛肉に生野菜を乗せた米麺とあっさりした塩味のスープが特徴の汁麺で、アジアンが多い西海岸や単純に都市の規模が大きい東海岸北部などでよく見かけます。出汁の効いたスープが落ち着く味ですが、ライムを絞ったりニュクナム(ベトナムの魚醤。ナンプラー。)を落とすと一気にエスニックになる楽しい料理です。
閑話休題。
キャンベルのスープは調理を必要とするもの、必要としないもの、多数ありますが、個人的においしいと思っていたのは濃縮ビーフブロスです。鍋にあけて、缶1杯の水で希釈し、火にかけて、あとは小葱を輪切りにして散らすなり、パセリでも浮かすなり、あるいは片栗粉でとろみを付けて卵スープにでもするといいでしょう。
さて、このような缶詰め食品や冷凍食品、インスタントフードの類を「現在のアメリカを象徴する食品」と言うこともできますが、これ以上にインスタントな食品も多数あります。次回はそのような食事について書いていきましょう。
アメリカの食文化:食べ物-3に続く